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4、眩暈を起こしそうな、冷たくて甘い時間  です。

使ったのは九龍妖魔學園紀 九龍×神鳳
お題5の貴方が、ただ一人のものであったのならの続きと言うか、同設定です。

やっぱり微妙に裏っぽいので続きの方に。

お題はこちら







4、眩暈を起こしそうな、冷たくて甘い時間




「重い……」

 雪崩れ込むような情事の後に目が覚めて。普段ならいるはずのない人が隣にいることに驚きを覚え、同時に嬉しさが込み上げる。それでも、この状態は眠るには酷すぎる。情事の痕跡は全くと言っていいほど無く、体の痛みもそう辛くはない。それなのに、こんなに苦しいのは。

「九龍さん?」

 顔を見ることもできないほどに密着した体。抱き締められると言うより、圧し掛かられると言った方が適切な体勢。僕よりも背は低くて、見た目はかなり華奢なのに。無駄な贅肉の無い、引き締まった体。程よく筋肉のついた体は私の力で引き離せる物ではなく。まるで大事な人形を抱えるかのように、しっかりと両の腕で抱きすくめられている。

「……」

 僕は眠るのを諦めて、軽く溜息を吐きながら彼の胸に頭を寄せた。音の無い真夜中はとても静か。ただ、寄せた胸から彼の心音が聞こえる気がする。どれだけ血を流しても、顔色一つ変えない彼の。生きている証の音が。
 それはまるで、眩暈を起こしそうなほどの甘やかな時。優しくて冷たい、水のような人がただの人になる時。矛盾も誠実の裏側も、僕と彼の立場すら。何もかもを放棄して、ただの人になる瞬間。彼の人に縋って、僕は目を閉じる。

「おやすみなさい」
「ん……」

 彼の人の瞳は深淵。暗く深い、水の底。誰もが目を奪われ、手を差し伸べられれば引きずり込まれる。
 甘くて冷たい、水の底。瞳を閉じて、眠る瞬間。彼の人は人となり、囚われた人も人となる。
 ただ甘く、静かな時。僕達の時は矛盾を抱え、それでも確実に過ぎてゆく……


――――――――――――――――――――


神鳳→九龍前提九龍×神鳳。
お題がお題だからですが、妙に暗いですねー。
らぶらぶハッピーにはなれるのでしょうか。






(今だけは、安らぎに溺れて)
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夢に見る、無限の蝶別館。お題のサンプル小説を書いていきます。
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